2017年6月25日 (日)

木漏れ日

 木漏れ日が風でゆらゆらと揺れ動く様子を見ていると、いろんなことが頭に浮かんでくる。遠い昔の想い出から延々と繋がる今日までのこと。木々はザワザワと揺れ動き木漏れ日がゆれる。そうして少しずつ時間が過ぎてゆく。

 最初は、素朴なメロディーの上に、ザワザワと揺れ動く木漏れ日や、鳥の声、風の音などを表現しようと思った。この情景を思いうかべながら、何気なく、電子ピアノで弾く日々。作ろうと思ってから1カ月半はそうやって過ごした。そして、ゆらめく木漏れ日を音で表現出来た。そこから作り始めることが出来た。
Komorebiscore20170625
ざわざわと揺れ動く木漏れ日のように、テンポも揺れ動かしている。1拍毎にテンポを微妙に変えることによって実現している。
一通り出来あがった時、眼を閉じて聴いてみた。「これは私が作りたかったものか?」と。そして、目を閉じて聴いてみた時、ザワザワと揺れ動く木漏れ日の情景が目に浮かんだ。これが私が表現したかったものだ。

2017年6月11日 (日)

光の中へ

「光の中へ」というタイトルの2ndアルバム、CDになった。

タイトルにある曲は、ピアノだけで仕上げたもの。夜明けから始まり、昼間~夜と、それぞれの時間の光を感じて欲しい。
最後の曲の「樹の歌2016」は、一番最初は2012年に作った「樹の歌」を作りなおしたもの。この曲は何度か作り直している。今回は新しい音源を色々と加えている。
最後の盛り上がりの部分は9パートもある。さらに効果音をかぶせているので、今まで作ったなかで最もパートの多い曲になっている。
Kinoutascores
※「樹の歌2016」はアルバム「光の中へ」の第6曲として収録されています。アルバム「光の中へ」は以下から購入出来ます。

2017年3月 5日 (日)

アルバム「記憶」について(7)うつろい

 私は何年も近所の里山のある地点からの定点撮影を行っている。その定点撮影の画像を繋ぎ合わせて動画にし、それに音楽をつけるということをやっている。一つはアルバム「光の中へ」に収録されている「樹の歌2016」であり、このアルバム「記憶」に収録されている「うつろい」だ。

 季節がうつろい、人の生活もうつろっていく。そんなことを表現したかった。そして、日本の里山風景から感じる音楽を表現したかった。
Utsuroi01s
この曲は大きく言えば、いくつかのメロディーを対位法的に構成している。それぞれのメロディーには思いがこめられている。どれがどのメロディーかは、聴く人にゆだねるが、意識して聴いてみると発見があるだろう。一つは、うつろっていく時間の中で起こった様々な出来事を語りかけているようなメロディー。一つは、里山で畑を耕し、田植えをし、といった農作業をする人々を、そして、里の祭り、一つは里にやってくる物売りの声....という具合だ。季節がうつろっていくなかで、人々の生活も変化し、様々にうつろっていく。その様子を表現したかった。
 この曲は、ギターとフルートに編曲し、2015年にステージで演奏することも行っている。
※この曲はアルバム「記憶」の最後の曲として収録されています。

2017年2月 7日 (火)

星降る夜に(てっちゃんとのコラボ作品)

 てっちゃんは、北海道在住の友人。Youtubeにいつも素敵な動画を載せている。今回、久々にそのてっちゃんとコラボ作品を作る事が出来た。

 「星降る夜に」は、一番最初は2012年に作曲した曲だ。夢の中で鳴っていたメロディーがとってもよかったので、目が覚めた時に(まだ頭の中で鳴っていたので)それを書きとめておいたのだ。まあ、そうやってかきとめていても、後で見ると「なんだこれは?」となることがあるのだが、これはあとで見てもよいメロディーだった。
Hosifuru2017s
今回は2012年に作曲したメロディーをベースに、ピアノと、コーラス、それに弦、途中、フルートを入れて作り直した。特に、ピアノとコーラスの音質にはかなりこだわり、遠くから聴こえてくるような、しかも光り輝くような音質を追求した。
 冒頭、それから途中、最後にキラキラとした音が入る。これは、グロッケンシュピールの音を使っている。ピッチをシフトした複数の音を重ね合わせて、煌めきに幅を持たせると同時に、ディレイなどをかけて、遠くから鳴り響いている感じを出している。
 てっちゃんの映像が素晴らしく、凍てつく北海道の大地の夜空が幻想的な作品となった。

2017年2月 4日 (土)

アルバム「記憶」について(6)夏の日の記憶

 この曲を最初に作ったのはもう随分前、2013年のこと。2015年にアルバム「記憶」をデジタル配信するにあたり、音源と全体のバランスなどを見直して作り直したが、スコアは2013年に作った時のままだ。

Summer2013v01
この曲もまた、ヒグラシの鳴き声から入るが、その後、高音の弦のフレーズが繰り返す。これは、コード進行にかかわらず、ずっと同じフレーズなのだ。それぞれの音がコードの中の違う音の役割に変化していくので、違和感はないはずだ。
 夏のイメージは蝉しぐれの音に囲まれ、照りつける強力な太陽の下、汗をたらしながら歩いているイメージである。そこにはいろんな音が聴こえる。この曲の中にいろんな音を探してみて欲しい。それは、蝉しぐれであったり、入道雲であったり、夏の風景を表す音がみつかるはずだ。
 私は自らが感じたものを曲にする。実態のない空想の中の風景ではなく、自らが感じた風景や心象を音にしていく。実態のないイメージばかりが氾濫する今の世の中。私は実態のないイメージだけで曲を作りたくない。「トワイライト夏」もそうだが、夏の空の下、何百回と歩いたそのイメージの蓄積が、私の曲となっていくのだ。
※この曲はアルバム「記憶」の第7曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

2017年1月23日 (月)

アルバム「記憶」について(5)トワイライト夏

 夏、特に、夕暮れ時は、色んなインスピレーションがわいてくる。ヒグラシの蝉しぐれの中、濃い青の空が紫色にかわっていく。そして、夜に向かって様々な生き物が動き出す。夏の夜は静まっていくのではなく、生命が力強く動きだすのを感じる。

 実は、アルバム「記憶」の第5曲の「トワイライト夏」は、このアルバムのジャケットの風景からインスパイアされたものである。ジャケットは色を強調しているが、もとの写真はこれだ。
Twilight2015071903
当時、「トワイライト」シリーズを作っていたので、トワイライトの写真を沢山撮りにいったものだ。特に毎週毎週熱心に写真を撮っていたのが、丁度、この「トワイライト夏」を作った頃である。そして、この曲はすぐに完成した。通常、楽曲ファイルは何度も作り直し、そのたびに別バージョンとして保存する。しかし、この曲のファイルは1ファイルしか保存していない。つまり、ほぼ一発で完成したという感じだ。
Summer01s
 この曲は冒頭から、ずっと9thコードの3連符のアルペジオが鳴り響いている。この9thの響きで夏の夜に感じる神秘的なものを表現したかった。
 このアルペジオはLinplug ALPHA3というソフトシンセを使っている。
Alpha3s
ただ、オリジナルの設定からは、いくらか設定を変えているので、独特の音になっている。
 冒頭と最後の部分はヒグラシの蝉しぐれが被るが、これは、この写真の場所で実際に録音してきたものである。ただ、この場所は羽田空港に降りる飛行機の通り道であり、ひっきりなしに飛行機が通るため、なかなかヒグラシの声だけを録音するのが難しい。そこで、フィルターをかましてなんとか飛行機の音を聴こえなくしている。そのために、若干、生の音よりも帯域が狭くなっている。ヒグラシだけでなく、アマガエルの声や、よく聴くとウグイスのさえずりも聴こえる。
 短い曲だが、このアルバム「記憶」の中では、私が一番気に入っている曲である。夏のトワイライトに感じる神秘的なもの、それはわき上がる生命の歌であり、宇宙である。それを是非感じて欲しい。
※この曲はアルバム「記憶」の第5曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

2017年1月21日 (土)

アルバム「記憶」について(4)雨の日の記憶

 この曲は、ピアノとストリングスだけで出来ている。ピアノパートは8分音符で刻む。途中から、三連符との打ち合いになり、音が絡み合い、強弱をつけて雨がしとしと降ってくる様子を表した。

Amenohi001s
雨の中の湿った空気感を、少し湿った感じのストリングスの音で表してみた。
雨の日の散歩道は湿った香りが漂い、静かに雨音だけが響く。その空気感を表現したかった。
ずっと短調で進行するが、曲の最後はAm->G->Fmaj7->G->Aと進行が変化し、最後は長調にかわる。雨が弱くなり、雲の切れ間から明るい日射しが少し差し込んで、空を見上げている。そんな感覚である。
※この曲はアルバム「記憶」の第4曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

2017年1月14日 (土)

アルバム「記憶」について(3)春風の記憶

 この曲を作ったのは2014年の5月頃だったと思う。「春」というイメージにしては、哀愁に満ちた曲となっているが、この年の春は、長女が大学生になり、一人暮らしを始めた頃。私自身は少し寂しさを感じていたのだと思う。

 この曲もまた自然の中で録音してきた音から始まる。シュレーゲルアオガエルの声と、ウグイスの声の後に、「ピックウィー」と聴こえるのは猛禽類のサシバの声だ。Sashiba2016043002
この曲の冒頭部分と最後の部分にサシバの声が聴こえるが、実は曲中にもサシバの声がかぶらせてある。気付くだろうか?
 サシバは千葉県では、春にやってきて、子育てをして、秋に南に渡っていく。自分自身の子育てと、そのサシバの子育てのイメージを少し重ねた。
Harukaze20170114
 私の曲としては珍しいB♭マイナー(変ロ短調)であるが、これは、この曲の寂しい響きを際立たせるためでもある。実際この調の曲は、物悲しい曲が多い。
 ピアノのイントロに続いて、ストリングスが主旋律を奏で始まるが、途中からは対位法的になっていて複数のメロディーが絡み合う状態になる。この絡み合う旋律に、新緑の中に強弱をつけてうねっていく春風が木々をザワザワと複雑に揺らす様子を眼に浮かべてもらえればと思う。
※この曲はアルバム「記憶」の第3曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

2017年1月11日 (水)

アルバム「記憶」について(2)モーニング

 ある朝起きたら、窓の外でキジバトがノンビリと鳴いていた。そこで、レコーダーを取り出して、録音したのだ。他にも、ムクドリなどが朝の会話をしている。その鳥たちの声からこの曲は始まる。

Morning_score001
 この曲はピアノソロだけで出来ている。私の曲としては珍しく、一人で普通に演奏できる曲だ。DM7のアルペジオでmajor7の響きがキラキラとした朝日のきらめきを。主旋律にもmajor7の響きで、どことなく眩しい光を。リズムは軽快ながら、少し安定感のないせわしなさを。
 途中で、アルペジオがDM7からD9にかわり、主旋律は5度の和音で少し安定感が出ると同時に、ウキウキした楽しい気分になる。何気ない朝の一風景。そうしてせわしなくも、少しウキウキした一日が始まる。
※この曲はアルバム「記憶」の第2曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

2017年1月 9日 (月)

アルバム「記憶」について(1)トワイライト春

 このアルバムに収録されている曲のうち、「トワイライト」とタイトルのついている曲が4曲ある。「トワイライト春」「トワイライト夏」「トワイライト秋」「トワイライト冬」だ。

これは、2014年にふと思いついて制作にかかったものだ。その時、私はこんなことを日記に書いている。

私がこんな作品を作るのは、自然の奥深さ、素晴らしさを、人の心にダイレクトにうったえかけたいから。
日常的に自然に接している私たちは、本能的に自然に対して感じる感覚を持っていると思う。しかしながら、都会に飼いならされた人々はその感覚が失われている。
だから、私は自然を五感、第六感も含めて感じとり、それを表現することで、受け取る人が、わすれかけていた感覚を呼び覚ましたいのだ。

それは2014年の秋の頃だったと思うが、私が撮りためた写真を見ていて、ある写真を見つけて、イメージがぐっと膨らんだのだった。それはこの写真である。
Twilight0001
丁度、田植えが終わったころの谷津田。夕方、日が暮れて行く時の写真。谷の奥は少しもやがかかっている。この写真を見た時、イメージがわき上がってきた。
丁度この時期は、カエル、それもここではシュレーゲルアオガエルの大合唱の音につつまれるのだ。それは太古の昔から響いてきた命の響きである。
 この曲はそのシュレーゲルアオガエルの合唱から始まる。そうして、大地の奥から響いてくるようなコーラスの声を基調にしながら、シンプルな音が繋がっていく。
Twilightscore001
使っているパートとしてはそれほど多くはないが、私がクワイア(合唱)の音源を使ったのはほぼ初めてだったと思う。
 ほぼワンフレーズだけのような単純で短い曲となっている。もともと、Youtubeに映像とともに音楽を載せてきたが、数分の作品では最後まで見てもらうことが難しいこと、一枚の写真に一つの音楽で短い作品を作ってみたらどうだろうかと思ったからだ。
 始まりと終わりにシュレーゲルアオガエルの合唱がわき上がってくる。その合唱を人間にの声に変えたら、このクワイアーの声のようになるのではないかと思った。静かだった冬が終わって、様々な命がわきあがってくる。そのトワイライトの時間帯、次第に暗くなっていく時間帯に、耳をすませば、私たちの命に刻まれた、生命の声がきこえてくるような、そんな気がするのだ。
※この曲はアルバム「記憶」の第1曲として収録されています。
(アルバム「記憶」は以下から購入できます)

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